最終回:リスクゼロからの中小企業M&Aのはじめかた 踏み出す勇気(三戸政和 Vol.4)
カネ

最終回:リスクゼロからの中小企業M&Aのはじめかた 踏み出す勇気(三戸政和 Vol.4)

ウェルビーイング・ラボ セミナー開催報告

「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい
ー 人生100年時代の個人M&A入門」

講師: 三戸政和(事業投資家)
株式会社日本創生投資 代表取締役社長

・・・

連載初回: 三戸さん自身が会社を買い、新オーナーとして経営するに至る体験
第2回: なぜ個人M&Aが現実に成功できる理由
第3回: 資本家の発想はサラリーマンとどのように違うのか?
とお伝えしてきた本連載も最終回。リスクを抑えての現実的な始め方についてです。
会社を買うことに限らない、あらゆるビジネスに共通する手法ではないでしょうか。

まずリスクゼロで見極める

ここまで会社を買う、所有する、という話をしてきました。でも実際、すぐ買おうというサラリーマンはそうはいないでしょう。「会社を買う」と考えると、たしかにハードル高いと思われるでしょうね。

そこで1つの提案は、「事業や人を引き継ぐ」と視点を変えてみることです。これなら、自分にもできることがリアルに見えてくる場合がでてきませんか?

私が現実的に勧めているのは、中小企業の経営会議に参加させてもらうことです。知り合いの会社に頼んで、はじめはとにかく報酬ゼロで参加させてもらう。そして、自分が入ることで事業を良くできるのか、試してみる。これならリスクなしでできます。そうすれば、

中小企業
良いこといいますね!

あなた
じゃあ5万円ちょうだい?
10万円ちょうだい?
ついでに会社もちょうだい?(会場笑)
とレベルアップしていけます。この方法なら、副業でコンサルティングなども可能ですよね。

こうして経験を積みながら、経営のリスク要因もみきわめながら、買収のチャンスを待つこともできますよね。

  
編集部注:サラリーマンの副業の始め方について、三戸さんは現代ビジネス記事
  「サラリーマン絶滅社会の到来前に知っておきたい「副業の思考法」— あなたに5万円を払う人の見つけ方」(2018.11.19) で、

  「営業マンなら(自社製品と競合しない)他社の商品を同時に扱う」
  「勝手にコンサル」
  「自分の知り合いに「商品」になる人がいれば、その人を適所に紹介する」
  など、詳しく書いています。

  
  「自分に値付けをしてもらうことが、脱サラリーマン思考の第一歩です。」という点は、
  小倉広さんの連載第2回「年収5000万円を実現する、たった一つの行動」での単価のお話とも通じますね。

  よろしければ、あわせてお読みください。

第一歩を踏み出す

そして、さあ買おうと決意したら、まず「フラッグを立てる」ことです。

あなた
私、会社買いたいです!
SNSに書くんです。年賀状に書いてもいいです。買う意思があります、と世間に表明するんです。

同時に、知り合いを探りましょう。会社社長が知り合いにいたら言いましょう。
あなた
私、会社買いたいです!
会社売りたい社長さん知りませんか?

「経営者の友達は経営者」です。オーナー社長の「会社売りたい」という希望は真っ先に経営者友達に伝えられるはずです。同様に税理士、不動産業者などの業者にも伝えられます。大きなおカネの相談をする相手だからです。会社を売るのと、社屋や土地を売る相談とセットです。

こうした手段を組み合わせて、情報収集します。

理想は、知り合いの会社を買えることです。情報がある程度わかっているからです。その中で、さらに社長が7080歳、子供も継がない、というところから声を掛けていくといいでしょう。

カタチから整える

企業の経営を譲り受けるためには「信用」が必要です。金融はよく「虚業」だと言われるんですが、実際そんな面もあります。だから金融業の人は一等地に会社を構えて、ピシっとネクタイ締めて、カタチから信用を作り上げています。見せ方をちゃんとするのは大事な商売の一部です。

僕らも会社を買うのなら、まずカタチから整えていきましょう。会社を設立し、ホームページを作りましょう。私はそのためにファンドまで設立しました。

もっと目立たなく進めたいなら、知人の会社に「MA担当」などの名刺を作ってもらってもいいですね。本当に買う気があるんだから、フェイク名刺じゃないですよね。

ここまでは、リスクゼロでできることですよね。

私が実際やっていること

私が会社を買うと、まず一人で入って、

三戸
明日から何しましょうか?
なんて会話から始めます。
買収先の社員さん
売上が落ちてます。

三戸
じゃあ営業を考えましょうか。
営業のリストを作りましょう、電話をかけよう、PDCA回していきましょう!
決めたことだから、やりましょうね。
というベタな当たり前なことから進めていきます。私が働いた会社で当たり前にやっていたことを、多くの中小企業では実際やってないんです。

たとえば「車検の相見積をとらない」「取引先の値引き要請を交渉なく受け入れる」といった事もありました。これらは、改善分がそのまま利益につながります。相見積をとって安いところに注文し、値引き額を抑え、と11つ見直すたびに、何十万、何百万と利益が増えてゆくのです。

現実のトラブル例

たとえばデューデリジェンス段階(買収前の経営リスク調査)で多いのは、「未払い残業代」です。たいてい出てきます。想定しておけばそれを見込んで買収金額を決めればよいです。

よくある失敗ケースで、こうした金額をオーナーに細かく詰めてしまうのがあります。最終的に売ってもらえないことが多いようです。

たとえば、5億円で売ってもらう交渉中に過去2年間分の未払い残業代3000万発覚、じゃあ47000万にして、とやってしまうんです。これはオーナーさんの気分を害します。自分で育ててきた会社を手放すのに、値切られたくないんですよね。
だから僕らはそこはマルっとかかえて買ってしまいます。最終的にそれ以上で売れればよいわけですから。

    必要なのは計算よりも胆力

    このあたりは胆力も必要で、優秀なエリートが緻密に計算してできることではありません。だから「エリート集団の再生専門企業にかなわない」ということは全く感じません。先日も、私の買収先がある地域に大きな台風がきたんですが、「被害額を報告してください」と聞いてるようではダメです。まずは電話して、

    三戸
    心配です!大丈夫ですか?
    です。

    これから「ドラクエする度胸」はありますか?

    結局必要なのは、失敗を気にせずつっこむ勇気です。周りから「あいつ失敗したな」と思われることさえ許容すれば、あとは自分に経験が残ります。腹さえくくればリスクって実はなくて、プラスだけが残ります。買ってから考えればいいんですよ。社員さんや取引先さんに教えてもらいながら、成長していけばいいんです。

    有料サロンを開設したのも、実際やってみることで気付く問題というのがあって、効率よく対応するためです。経験者からすればなんでもないことでも、初めてだと結構な壁になることは多いので。これは実際に会社を買ってみないと現実感がないので、半分くらいは途中退会するかな、と見込んでいますが、それは構わないです。行動している人、これから行動する人にだけ役に立てれば十分です。

    私がロンドンで会社を始めたときは、なんにもないところからのドラクエ状態です。今の自分に経営能力があるかどうか、ではありません。これからドラクエする度胸があるか、です。

    ~編集後記~

    三戸さんセミナー連載もついにゴールを迎えました。ちなみに三戸さんはトライアスリートでもあります。スイムを終えて海から上がった直後の写真から、ドラクエのような冒険を楽しむ雰囲気がよく表れていますね。
    9月開催の三戸さんセミナーを企画したのは7月ごろ。当時9万部だった著書発行部数も、万の数字が毎月上がり続け、ただいま13万部超え。この間に大手メディアでの紹介も急増していますね。これからのご活躍、そして中小企業M&Aビジネスの行方が楽しみです。

    (構成:ウェルビーイング・ラボ編集部)