サラリーマンのための個人M&A入門 by 三戸政和

サラリーマンのための個人M&A入門 by 三戸政和

人生100年時代を豊かに生きるために、「価値を産み続けるものを所有すること」は理想の1つです。そこで注目を集めているのが、サラリーマンによる中小企業の買収と経営です。

そこでウェルビーイング・ラボでは、ベストセラー『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』の著者、自ら投資ファンドを結成し中小企業買収を手がける三戸政和さんをお迎えし、サラリーマンのための個人M&Aの基礎知識をお伝えいただきました。20189月の講演を再構成してお伝えします。

< 目次 >

1. サラリーマンでも会社を買える
2. 三戸政和の企業買収体験記
3. 個人M&Aが儲かる理由
4. 資本家の稼ぎ方
5. リスクとの向き合い方
6. サラリーマンのためのM&Aの始め方

1. サラリーマンでも会社を買える

<このページのまとめ>

◆「サラ3」とは、三戸自身が体験し読者が後に続く、実践のための本
◆ ロンドンの神戸牛輸出ビジネスで「ゼロイチ起業」の怖さを知る
◆ 買収実践者と出会い、この事業を計画し
◆ 3ヶ月後にファンドを設立し
◆ 自己資金数万円で30億円を調達した

こんにちは、三戸政和です。サラリーマンによる個人M&Aを著書『サラ3』で提案しました。

最近、実行する方も現れてきました。つい先日も、本を読んだ24歳の大手メーカーの会社員が、早速ネットで会社を探して、地元の信用金庫から融資を受けて買収し、この9月から社長を始めています。

※日本を代表する大手製造業に勤務していた溝口勇樹さんは、三戸さんの著書を読んで3ヶ月後には1800万円を調達、京都の産業用ロボット部品メーカー「美山精機」のオーナー社長になりました。給与を上げて腕のいい職人を雇うなど「大企業の手法を持ち込む」という本に書かれた原則通りの経営で、業績を伸ばしているそうです。NHK(2018年10月31日)「おはBiz」、テレビ東京系(2018年11月21日)「ワールドビジネスサテライト」などで紹介されています。

オンラインサロン「サラリーマンが300万円で小さな会社を買うサロン」も開始前から45名が集まりました。いまやサラリーマンが会社を買うのは特別なことではなくなっています。その現場で私が経験してきたことをお伝えしましょう。

三戸政和の来歴

私は大学を出てソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)に入社、6年間ベンチャー投資をしました。東京発で世界へ出ていく会社をお手伝いして、中には東証一部上場を果たしたロボット会社、大手企業に買収されたメーカーなどもあります。2008年にはインド・ムンバイ出張中に同時多発テロに遭い、宿泊していた部屋をテロリストに占拠されパスポートだけ持って逃げる経験もしています。

東京もすごいが、世界にはもっとすごいものがたくさんあるなあ、と実感する中で、地方をボトムアップで盛り上げたいと思うようになり、地方政治を志しました。2011年に兵庫県議会の議員に当選。かの号泣議員さんと同期で、有名な号泣会見のとき私は会見場の裏にいました。2014年、もっと地方を元気にしたいと加古川市の市長選挙に立候補して落選し、再びビジネスの現場に戻りました。

今度は地方発で世界へ出ていくビジネスをお手伝いしようと、一人でロンドンに行って、神戸牛の輸出ビジネスをゼロから立ち上げました。牛肉をどうやって運ぶの?通関は?倉庫は?販路は?など何もわからないところから、あちこち聞きまわりながら進めていく、まさにドラクエ状態でした。

「ゼロイチ起業」の難しさは、どんなトラブルが出てくるかわからないことです。私の場合、準備段階で、契約した倉庫業者が結局ダメで、契約解消したら、そのために作った冷蔵倉庫がムダになって500万円が溶けました。営業を始めると、冷蔵輸送のはずが冷凍されてしまい、高級和牛として売れなくなってさらに500万円溶けました。保険とかにも入ってませんでした。私は出資者の資金が十分あったので幸運にも対応できました。その事業がなんとか軌道に乗って、人に任せて帰国しました。今では年何億円かの事業に育っています。

そして2016年に日本創生投資というファンドを立ち上げ、中小企業を買収して経営する事業を始めて、今に至ります。


(スライドは2008年のムンバイ同時多発テロでの撮影、日本人1名含む172名以上が犠牲になったとされる)

きっかけ

私自身が「自分にも企業買収ができる」と思ったきっかけは、実際に企業買収で成功している実業家に出会ったことです。事業投資として会社をたくさん買って、うまく経営できている。これなら自分にもできるかもしれない、と思えました。

その方は買ってから企業グループに取り込んで経営し続けるスタイルでしたが、私は売却まで視野に入れたファンドの形式で計画を立てました。その方からも出資いただくこともできました。

計画から2-3ヶ月後には会社を設立し、ファンドを立ち上げていました。僕はビジネスを立ち上げるスピードは早いんです。

ファンドとは「有限責任組合」で、金融庁に届出をし、投資家さんから預かったおカネを入れて、株式会社日本創生投資がその資金を運用する、という仕組みです。ややこしい分だけ、信用度も上がります。私は数万円の自己資金で30億円を集めました。

次のページ” 2. 三戸政和の企業買収体験記 “では、私がそこから、どのように企業買収を進めていったのか、お話していきましょう。