サラリーマンのための個人M&A入門 by 三戸政和

サラリーマンのための個人M&A入門 by 三戸政和

4. 資本家の稼ぎ方

<このページのまとめ>

◆ サラリーマン社長は年収1億円、創業社長は100億円
◆「所有権」がおカネを産む
◆ 年収より資産に注目する「バランスシート」発想
◆ 収入源を分散する「ポートフォリオ」発想
◆ おカネがおカネを産む「信用創造」の仕組み

資本家は「所有」で稼ぐ

日本のおカネ持ちはみなオーナー社長です。たとえばソフトバンクの孫正義さんの年収はざっくり、役員報酬が1億円、配当収入が100億円です。さらにキャピタルゲイン(株式の含み益)が2兆円あります。

サラリーマン社長なら、どんな有名な会社でも収入は基本、役員報酬だけです。ストックオプションなどよっぽど付かない限り、何百倍という差がつくわけです。でもソフトバンクと、たとえば日産やサントリーとで、経営することの難しさや責任ってそう違わないですよね?

違いは、株式=会社の所有権を持っているか、だけなんです。それが資本主義の仕組みです。「所有」で稼ぐのが資本家というポジションです。その差は結局、所有するというリスクを取ったかどうか、なんです。

ただ、「資本家の発想」なら、サラリーマンであっても持つ事はできます。ストックオプション、成功報酬など、成果に対する報酬を交渉することは誰にでもできます。その究極が「株を持つ=オーナーになる」ということです。

「所有で稼ぐ」3つの視点

では、おカネを入れて所有権を持った後はどうするか? 私は3つの視点が大事だと思っています。

  1. 「おカネとヒト」に働いてもらう
  2. 「バランスシート」で儲ける
  3. 「ポートフォリオ」を組む

資本家は「おカネとヒト」に働いてもらう

単純な例を出しましょう。「売上1×利益率5%=利益500万円」という事業があり、これが自分ひとりで働く限界だとします。利益を5000万円に増やすには、どうすればいいでしょうか?

500万円×105000万円、という計算式が実現すればいいですよね。

1つめの方法は、同じような会社を10社持つことです。こうすれば毎年5000万円の利益が入ってきます。これは見方を変えれば「人に働いてもらう」ということです会社の所有権を持つとは、その利益が自分のものになるということですから。それが「所有と経営の分離」という仕組みです。

もう1つは売却です。今後10年間で5000万円の利益が見込まれるとすれば、先取りして5000万円で会社を売ることができます。これは見方を変えれば「時間を売り買いする」ということです。

資本家は「バランスシート」で儲ける

たとえばある地域に高級ブランド店が出店すると、周辺の不動産価値も高まります高級品を買える良い客層の人たちが集まるからですね。すると高級ブランドの会社は、出店する前に予めその不動産を買っておけば、土地が値上がって儲かりますよね。もしもお店で利益が出ていなくても、会社全体の資産価値、つまりバランスシート(貸借対照表)では儲かります。これも「所有」によって得られる利益です。

資本家は「ポートフォリオ」で儲ける

儲かっている事業があるうちに、そのキャッシュで次のビジネスを用意するということです。今いくら儲かっていても10年後もそうだとは限りません。でも複数の事業があって、儲かっている事業の方が多ければ、トータルで儲かり続ける仕組みになります。
このように、性質の違う複数事業を組み合わせ、リスクを分散させて儲けるのが「ポートフォリオ」の発想です。

私が事業立ち上げに際してモデルとした先輩経営者は、このスタイルで複数企業の経営に成功していました。

「信用創造」という金融の仕組み

これらを組み合わせて、「おカネに働いてもらう」のが資本家のスタイルです。
たとえば

  • 自己資金100万円
  • 100万円の会社を買う
  • その8割分を担保に銀行から80万円借りて、新たに80万円の会社を買い
  • その8割を担保に64万円の会社を買い
  • さらに8割の51万円の会社を買い

という例を想定すると、100万円の自己資金で4つの会社を買い、合計295万円になりました。

総資産は自己資金の3倍になり、4つの事業を獲得したわけです。それが「信用創造」という金融の仕組みです。これが資本家の仕事の仕方、稼ぎ方なのです。とはいえ会社の買収です。怖い、不安だ、という方も多いでしょう。
次の5. リスクとの向き合い方 “で、リスクとの向き合い方について説明します。