“年収5000万フリーランス”への教科書 by 小倉広

“年収5000万フリーランス”への教科書 by 小倉広

どれだけ長く、自分らしく働き続けられるかが幸福度を決める人生100年時代。コンサルタント業は理想の一つといえるでしょう。この仕事で経済的・時間的・精神的な自由を獲得している成功者は、それをどのように実現しているのでしょうか?

お話いただくのは小倉広さん。「経営に心理学を」をテーマに、著書の発行部数100万部を超え、著名企業からの依頼が絶えません。そんなトップ・コンサルタントの技と哲学を、2018年8月の講演内容を再構成してお伝えします。

< 目次 >

1. 年収5000万円コンサルタントの生活
2. Price- コンサルタントの価格設定
3. Place- コンサルタントの商談哲学
4. Promotion- コンサルタントの宣伝哲学
5. Product- オリジナルの制作過程
6. まずやってみる、という生き方
7. アドラー流、自分らしい働き方

1. 年収5000万円コンサルタントの生活

<このページのまとめ>

◆ コンサルタントなら、お金、時間、場所に縛られず働くチャンスがある
◆ 自由な人生は幸せだ、たとえおカネは足りなくても
◆ コンサルタントになるために、「すごい経歴」は不可欠ではない
◆ 弱者の戦略は、守備範囲を狭く、中間ステップを用意して
◆ 成功者の年収は、トップ集団3000万円、個人上限5000万円

こんにちは、小倉広です。企業を相手に現場で指導するコンサルティングや研修、講演、本を書く仕事をしています。

本はこれまで43冊書き、合計100万部以上売れました。

その印税よりも売上が大きいのが講演です。巨大企業などを相手に年間約100回やっています。営業はしていません。開業から十何年か、一度も自分からお願いしたことはありません。企業の人事の方などが僕の本を読んで、メールや電話で連絡をくれます。あとはエージェントからの紹介が約3割あります。

売上の構成比は年によって変わりますが、おおまかに講演>出版コンサルティングです。これだけ仕事をすると「年収5000万円」と銘打ったお話ができるくらいにはなります。

ただ、これくらいでは生活は変わりませんよ。プライベートジェットで有名人とワールドカップを見に行ったりしませんし、三ツ星レストランに行ってもいいのですが、たいして美味しくないから、結局、居酒屋くらいしか行かないんですよね。

 来歴 – 人に惚れて生きてきた

僕はバブルのピークに青山学院大学を卒業してリクルートに入社しました。よくわからない会社でしたが、就活中に出会った社員に素敵な人がとても多かったので選びました。たまに大学生に就職先の選び方を聞かれますが、企業の将来性なんて誰にもわかりませんよ。でも人を見ることならできますよね。

新設されたコンサルティング部門に異動して、人事組織制度や教育体系などを作るようになり、お客さんにソースネクストというITの会社がありました。今は東証一部に上場していますが、当時はボロいビルに入っている従業員18名ほどの会社でした。社長がすばらしい人で、惚れ込んでいました。そんなある日、

社長
これから会社を上場させたいと思っているんだ。小倉くんも来てくれたらいいな。

小倉
え? ほんとですか?
12年間お世話になったリクルートを辞めて、役員として転職しました。肩書とかではなく、社長に惚れて入ったんです。

その後、何社か上場前後のベンチャー企業などで働いているうちに、自分で経営してみたいなあと思い始めた頃、友人から連絡があって、

友人
会社を立ち上げたいんだ、研修とかちょっと手伝ってくれない?

小倉
じゃあ一緒にやろうよ!
と株を半々で持って0からコンサルティング会社を立ち上げました。この友人となら、って思ったんですね。会社を大きくしようと10年ほどがんばって、最大で50人くらいまでになりました。

でも僕は大きくするのがしんどくなったんです。すごくしんどかったです。会社を大きくするのが向いている人もいます。でも僕は違いました。最終的に個人コンサルタントになりました。結局わかったのは、マイクロビジネス、個人として稼ぐことが僕に一番向いているということでした。

自由であること

僕みたいなマイクロビジネスで一番良いのは、自由であることだと思います。

誰にも気兼ねなく平日昼間から遊べます。社長をしていた頃はこうはいきません。オーナー社長だと誰からも文句を言われませんが、やはり社員に悪いなあという気になります。夜でも休日でも社員から問題報告があり、いつも気がかりです。そういうのが向いてる人もいますが、僕はそうではありませんでした。

よくいわれることですが、お金、時間、場所に縛られない生き方は実現できています。忙しいときは徹夜もしますが、少なくとも自分でコントロールしているので縛られている感じはしません。先日、沖縄の離島で2週間、お客さんや友達に連絡せずに、こもって仕事をしていました。誰にも気づかれませんでした。講演さえなければどこにいても問題はありません。

そんなわけで、自由に生きています。

自由なら幸せになれる

ちょっと前に「独立自営業者の就業実態」という調査の結果を見てびっくりしました。フリーランスの年収めちゃくちゃ低いんです。専業でも半分が年収200万円以下、400万円で上位3割です。でも満足度はめちゃくちゃ高いんです。「仕事全体に満足している/ある程度満足している」の合計がほぼ7割です。

(図:独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査」2018)より
報酬総額(専業・兼業別)(n=8256)  http://www.jil.go.jp/press/documents/20180328.pdf

なぜ低収入なのに幸せなのか? たぶん自由だからでしょうね。人生で自由って、それだけ大事なんですね。

誰もがコンサルタントになれる

コンサルタントになるだけなら、誰にもできます。あらゆる経験を活かすことができるからです。

BtoB=法人向けコンサルティング

企業向けコンサルでは、サラリーマン時代の仕事の専門性が大きく影響します。

職種専門(営業・人事・経理など)、業界専門(金融業界、飲食業界など)が代表的です。たとえば新規事業立ち上げの経験豊富な方なら新規事業開発コンサルタントができます。大企業が苦労しやすいところなので重宝されるでしょう。最近よく聞くのは「人脈を売る」というビジネスです。営業のアポイント1ついくら、そこからの売上の何割、という営業コンサルの応用編で、大企業経験者などに向いています。

僕の周りだと「お掃除」(オフィス環境整備)、「事務作業の効率化」(書類などのファイリングなど)などもあります。普通の会社なら花形の仕事ではないですよね。それでもコンサルで食えるんだから、別にすごい仕事でなくてもいいんです。

BtoC=個人向けコンサルティング

個人が相手になると、もっといろいろあります。僕の周りだけで「あがり症対策」「売れる名刺」などあります。自分がやってきたこと全部が対象になるんです。それが相手にとって価値があるのなら、誰もがコンサルタントになれるんです。

コンサルタント業の始め方

私は総合的になんでもやりますが、それは「強者の戦略」です。弱者なら、最初は対象を狭めるのが良いでしょう。業界別のコンサルに職種も組み合わせて「○○業界の○○業種」と細かくするほど、やりやすくなります

独立を目指すのなら、まずはStep by Stepで進めるのがオススメです。僕の来歴だと、リクルート社内の異動で、最初にコンサルを始めました。次に、リクルートの課長からベンチャー企業の役員に転職しました。これはほぼ同じ仕事内容のままで、立場だけ「半分自営」になったようなものです。

このように中間ステップを挟めば、恐怖が減って「完全自営」へと踏み出しやすくなります。多くの会社員にとっては、勤めながら副業として始めて、その割合を増やしていければ安心ですね。

年収はトップ層3000万円〜最高5000万円

紹介したフリーランス調査で、年収800万円以上は1割だけです。いくら「自由なら幸せになれる」といっても、待遇の良い大手企業などを辞めたのなら、おカネは欲しいのではないでしょうか。

コンサルタントのトップ集団は年収3000万円くらいだと言われます。僕の周りの法人相手の研修講師だとこのレベルが千人くらいいるのかな。コンサルタントに限らず、弁護士、会計士、多くの業界で日本のトップ層がだいたい3000万です。

そのトップの中のトップ、個人として稼ぎ続けることができる上限が、だいたい年収5000万円といわれています。億単位で稼ぐ人もいますが、たいていテレビのタレント、もしくは会社経営者など他人に働いてもらっている人です。個人でそこまで働くと、しんどくて続きません。5000万でもかなりしんどいですけどね。

では、なぜ私は、このレベルの収入を稼ぎ続けられるのか? 

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