“糖質制限 × 長距離スポーツ”の教科書 by 小谷修平

“糖質制限 × 長距離スポーツ”の教科書 by 小谷修平

3. 私の糖質制限食メニュー

<このページのまとめ>

◆「出口が見えない」から続かない
◆ 3ヶ月後、再チャレンジ成功
◆ 24時間走の苦しさの8割は内臓由来
◆ レース中の糖質摂取量は半減
◆ 脂肪活用力が上がり、同じパフォーマンスを出せるようになった

出口が見えないから続かない

糖質制限は、チャレンジしても挫折される方が多いですね。なぜかというと、「出口の見えない闇」が続くからでしょうね。始めた時に、いつまで続くかわからない。でも、例えば3ヶ月後にうまくいくと分かっていれば、1ヶ月で挫折するっていうことはないですよね。

私自身が、
3週間チャレンジ → 敗退 → 3ヶ月後に再チャレンジ → 今度は3週間後に成功の感触
というプロセスを経ています。詳しく説明しましょう。

小谷さんの糖質制限食メニュー

私は実際、何を食べているのか?

朝食は食べず、昼と夜の1日2食、あいだに少し間食が入ることがあります。

中身はパターン化していて、昼も夜もほぼ同じものを食べている事が多いです。

【昼】
●ミックスナッツ 70g
サラダ(キャベツ・プチトマト2-3個・たまにレタス。マヨネーズ・亜麻仁油・ゴマ油などをかける。量はコンビニ等カップサラダの約1.5倍)
もずく(1カップ)
●肉 200g(豚肉や鶏肉、脂身などは気にしない)+スライスチーズ約2枚(醤油をかけて焼く)
●生卵+納豆(各1つ)
●ヨーグルト(少量)

【夜】
●ミックスナッツ 70g
サラダ(昼と同じ)
●肉 200g+もやし(1袋、約200g)+きのこ類(1袋、約100g)+バター醤油炒め

【間食】(午前中や午後に食べることがある)
●ミックスナッツ 35g
●ローソンの低糖質パン(出先で)

【水分】
●水(適量)
●コーヒー(1日約2杯)

さらに、微量元素(ビタミン・ミネラル類)のサプリメントも摂ります。ナッツなどを主体とする食事だけではどうしても不足すると思うからです。特に脂肪燃焼を促進する、カルニチン・ブラックジンジャー・ヒドロキシクエン酸・CoQ10(コエンザイム Q 10)。この4つをまとめたサプリを私自身が開発し、販売もしています。

これだけです。食事のバリエーションはものすごく乏しいです。私は食事が同じものが続いてもストレスにはなりません。食べるのが嫌いではないですが、娯楽ではないというか、グルメ趣味はありませんので。

食費は月で65000円くらい。おカネがかかるのが難点です。

体重の変化はありません。体脂肪率は気にしていませんが、10−11%くらいです。
人間ドックなどには行っていませんが、少なくとも表面上では、病気などの健康の変化もありません。

取り組みの当初からこうした食事に一気に変更しています。最初は1日あたり糖質36gからスタートしました。最も参考にした論文では、糖質制限グループの平均値が、総カロリーのうち糖質エネルギーが10.4%なので、それより低くしようと考えたためです。

  <参考> ボレック教授の論文:
  「Metabolic characteristics of keto-adapted ultra-endurance runners」(Jeff S. Volek他、2016)
   https://www.metabolismjournal.com/article/S0026-0495(15)00334-0/fulltext

やりながら、ナッツをもう少し増やしてもいいな、などの修正を入れて、糖質46g184Kcal)くらいに落ち着きました。(ナッツは約半分が脂肪、2割が糖質)

会場からの質問

—(質問):食事の内容は、どのように管理すればいいですか?

小谷: 写真を撮り続けていけば一目でわかります。一週間も写真を撮れば、だいたいの管理はできるんじゃないでしょうか。糖質制限食の専門家を目指すとかなら別ですが。

—(質問):息抜きというか、チート・デー(食事制限中、意図的に、一時的に高カロリーの好きなものを食べること)のようなものは設定しないんですか?

小谷: 私は食への欲求は少ないので、不要です。
欲しい方は、低糖質スイーツとかありますよね。身体に良いか悪いか、という議論はありますが、それ抜きに言えば良いんじゃないでしょうか?

—(質問):お酒を飲みながらやることはできるんでしょうか?

小谷: 私は幸いにしてお酒に興味がないので、この悩みはないんです。
よく知らないんですが、蒸留酒などの糖質の少ないお酒なら良いんじゃないでしょうか?

—(質問):お米を減らすと、腸の調子が悪くなりませんか?

小谷: 結論としてお腹の調子はすごく良いです。お米など炭水化物の正体は「糖質+食物繊維」です。腸内環境を良くするために食物繊維は必要で、キャベツなどの野菜でしっかりと摂ります。
一般に、肉を多く食べることで、腸のph(酸性度)が偏るなど腸内環境は悪くなりがちですが、それは便の色で判断できます。私も始めて1週間くらいは悪い色をしていましたが、1ヶ月もする頃にはいつのまにか良くなっていました。

  (2018年11月の24時間走が終了した数十秒後の小谷さん。奥の選手たちが疲労困憊しているように見えるのに対し、小谷さんはまるでスタート前のように元気です!)

レース中は糖質を補給する

ここまでは日常の食事です。トレーニング中もそうです。
24時間走のような長時間のレース中だけは例外で、私も糖質を摂ります。グリコーゲンの維持が極めて重要だからです。(※連載第一回参照

まだ試行錯誤中なのですが、11月の神宮の24時間走では、スタート90分地点で最初の糖質を摂り、以後、毎時30−35gの糖質を摂り続けました。
ジェル(商品名「アスリチューン」)毎時1つ25gと、飲み物(電解質パウダーを濃いめに溶かしたドリンク)が基本で、ジェルを摂りたくない時にはオレンジジュースやココアで糖質を摂ります。
(※ハンドラーと呼ばれる登録した同伴者にリクエストし、走りながら渡してもらう仕組みです)

レース中には脂質は摂りません。一時、MCTオイルを摂ってみたことがありますが、身体に脂肪はたくさんあるから、わざわざ補給する必要はない、という結論です。

以前は、レース中の糖質補給量は毎時60−70gを目指していました。しかし、24時間続きませんでした。20分に1本のバナナを食べながら24時間走るのですが、これは無理です。拷問レベルです。

24時間走の苦しさ — 内臓が8割

私のセミナーなどで、

小谷
24時間走で一番キツいのは何だと思いますか?
という質問をすると、回答者のレベルごとにパターンがあって、 
ランニングしない素人さん
ヒザ痛くなりませんか?

42kmマラソンまでの経験者
24時間も筋肉が持つんですか?
と言われる事が多いです。

実際には、苦しさの8割は内臓由来なんです。食べれない、食べると気持ち悪くなる、吐いてしまう。必要なエネルギーも水分も取れない。無理して食べようとする。このループに陥ると、とても苦しいです。

しかし、先日の24時間マラソンでは、この8割分が丸ごとなくなったのです。
小谷
こんなに楽に24時間が走れるなんて、周りの皆さんに申し訳ないな!
というぐらいの感覚でした。

糖質制限食のおかげで、脂肪活用能力が上がり、半分の糖質で同じパフォーマンスを出せるようになったのです。今まで限界を超えて食べていたのが、キャパの半分まで落としたことで内臓も仕事せずに済むようになり、気持ち悪さなどが激減したんです。
やってきて良かった、と実感しました。

では、こうした糖質制限への適応には、どれだけの期間がかかるのか?
一般的に言われていることと、私自身の経験、それぞれをお話しましょう。

(次ページ ” 4. 適応へのプロセス “へ続く)