日本列島縦断レースの8日間 by 3人のサラリーマン完走者

日本列島縦断レースの8日間 by 3人のサラリーマン完走者

2. 縦断レース本番 ②前へ進ませる力

<このページのまとめ>

◆ 応援が苦痛を吹き飛ばす
◆ 頭で嬉しく体が辛いTV取材
◆ 動機① 公式ウェア
◆ 動機② 冷たい夜の雨の後には晴れた朝がある
◆ 動機③ こんなレースは他にない

応援の効果(とちょっとの逆効果)

— ここまで愚痴ばかりお話させてしまいましたが、良いこともありますよね?

阿部: いや実際、私はレース中はずっとブツブツ文句言ってましたから。でも苦しい時にも、応援してくれる人が多いのは嬉しいですね。応援で一気に嫌な気持ちは吹っ飛びます

一同: (うなづく)

 (会場から質問) 応援がうっとおしい、ということはないんですか?

岡田: 私はそこまで応援されるほど人気はないんで。(笑)
一般の応援の方が嫌になる、ということはないんです。ただルールをご存じでない普通の方が、

応援の一般人さん
これどうぞ!
と水を差し入れようとしていただいたりして、ルール上、断らないといけないので申し訳ない、というのはありますね。最後の静岡駅あたりとか、ずっとチャリで着いてくる人もいたりするんですが、
岡田
ルールで並走は禁止なんです、ごめんなさい、ついてこないで!
ということもありました。(会場笑)

あと応援ではないんですが、TVの撮影は、

岡田
(今、それ? ちょっと勘弁してくれない?)
と思うことはありました。時間を取られるんですよ。ご飯を食べて、すぐリスタートしようとしてる時に、
撮影スタッフさん
ちょっといいですか?
と言われてインタビューが始まると、ちょっとでは済まないんです。あっというまに20−30分たちます。こちらは正直、それだけの余裕はないんですよね。

阿部: しかも使われない。
(*NHK-BSプレミアム「激走!日本アルプス大縦断~2018 終わりなき戦い~」(2018/10/27)で本大会が放送された。合計300時間を超える撮影から2時間に集約されるため、ほとんどのシーンはカットされることになります)

吉藤: シェルター(簡易テント)出たらいきなりカメラが待ち構えてたり。どんだけ待ってたんだ?と。

阿部: カメラさん、レース中、何時間も張り付くんです。「取材対象」になっている出場者さんが何人かいて、彼らには本当にずっと張り付いています。僕は対象ではなかったんですが、それでも2-3時間くらいずーっと張り付かれます。

岡田: 私も取材対象ではなかったんですが、それでも長いときは3時間くらいずーっと後ろでカメラが回っていました。番組のメインディッシュになる方だと常時撮られてます。

阿部: リレー形式でカメラマンが交代して、つなげてくんですよね。

 (会場から質問)そこまでいくと、レースに与える影響も大きいようにも思われますが。そもそも並走などは禁止されている大会なんですよね?

岡田: 基本、カメラマンは存在しない体でお願いします、という設定なんです。でも実際、人はいるわけで、気にならない、ということはないですね。

阿部: ミーハーな人は、カメラ向けられると舞い上がっちゃうんですが、たぶん5分間くらいまでです。(会場笑)5分過ぎると、もういいや、ってなります。

岡田: 我々もTVとかで見て知ってこの世界に入っているので、可能な範囲は協力しなきゃ、という意識はあるんですけど。「これ以上来られたら断ろう」と言う準備は、今回はしていました。前回はそれができなかった反省がありましたので。

阿部: ただ、カメラマンはトップレベルのトレイルランナーが担当することも多くて、「こんなすごい人たちがサポートしてくれる!」という高揚感もありますね。基本は感謝が多いです。

苦しい時のモチベーションの保ち方

— 苦しい時、モチベーションになるのは何でしょうか?

阿部: 僕は、本当にこの大会に出たくて仕方なかったんです。僕はこれ(出場者がレース中に着るビブスを指さして)のためにやってきて、実現したので。本番はどれだけつらくても、下を見れば、このビブスがあるんです。

岡田: 私はそんなに辛いと思っていない。まず、やりたくてやっていることですから。あと私は空手をやっていたので、痛みを無視できる、というか、無視する訓練をしてきました。痛くても反応したら「あなたの攻撃が効いていますよ」「私の弱点はここですよ」と相手に伝えることになりますから。
たしかに、辛さはあります。雨の夜とかですね。でもその先の達成感があります。冷たい夜の雨の後には、晴れた朝がある。ご褒美が必ず後にあって、その嬉しさ楽しさが勝っているから、やっています

吉藤: それだけの魅力があるから、かっこいいからですね。日本海から太平洋まで、アルプスを北、中央、南と越えていく。そんなレースは他にないですよね。そこに参加できている、という気持ちで動いています。

(次ページ 3. 出場までの過程 “ へ続く)